DUO? DUETTO?
ピアノ連弾と2台ピアノ
《注=この記事公開当初に掲載していたERARD社製DOUBLE PIANOの貴重な写真は著作権上の問題があり、現在では公開しておりません。どうか御了承ください》
一台のピアノに二人の奏者がならんで座り音楽を演奏することを「ピアノ連弾」といいます。 鍵盤に向かって右に座る奏者をPRIMO(プリモ=主席) 左の奏者を(SECONDO=次席)と呼び鍵盤に相対する位置関係上PRIMOが高音部を、SECONDOが低音部を担当することになりますから必然的にPRIMOが旋律を、SECONDOが伴奏部分を担当することが多くなります。 ピアノの「おさらい会」ならともかく、演奏会ではこの二人が途中で入れ替わることはありません。 この場合、どちらかというと技量が上の人が伴奏部のSECONDOを担当し、建物で言うと基礎部分をしっかりと固めた方が演奏は安定します。
「2台ピアノ曲」は二人の奏者がピアノ一台ずつの全鍵盤を自由に演奏し着座位置に由来する旋律、伴奏あるいは主従の制限がありませんから、PRIMO.SECONDOという呼び方はせずにPIANO1.PIANO2となり、たとえば旋律をPIANO2が先ず提示し、その応答をPIANO1が引き継ぐなど、役目は曲の中で何回も入れ替わり二人の立場は対等となり、連弾よりは声部も重厚な作曲が可能な、格段と高等な音楽表現が可能となる演奏形態です。
問題はその「連弾」と「2台ピアノ」の呼び方。連弾がDUO(デュオ)で2台ピアノはDUETTO(デュエット)という人と「いや、それは反対で連弾がDUETTOで2台ピアノがDUOだ」と思っている人数が、ほぼ拮抗しています。楽典によれば「2台のピアノを
二人で演奏するのがDUO」という規定があるにはあるんですが、なに、これは辞典に書かれているだけで、巷では相変わらずDUO.DUETTOの論議は喧きものがあります。 例外的に楽器の2重奏をDUO、声楽の2重唱をDUETTOと呼ぶ慣習はありますが、本来DUO.DUETTOの違いは演奏形態の違いを指すものではなく、DUOよりも規模の小さい、あるいは演奏時間の短いものがDUETTO. これはSONATAに対するSONATINE(A)と同じようなもので言語学的には「DUETTO. SONATINEはDUO. SONATAの示小形である」と申します。
現在ではピアノに関しては大変に紛らわしいので、すくなくとも楽譜出版および演奏会プログラムに関してDUO.DUETTOの呼称は用いられない替わりに連弾曲を「4手ピアノ曲」 2台ピアノ曲を「2台4手ピアノ曲」と呼ぶように統一されています。 「6手ピアノ曲」「2台8手ピアノ曲」の楽譜も存在しますが、多くは作曲者が6手、8手のために書いたものではなく、分厚い声部の管弦楽曲を手軽にピアノで演奏するために第三者によって編曲されたものが数多く出版されています。(なにも4人が4人ともピアノなんか弾いてないで、そのうち一人でも太鼓かトライアングルなりタンバリンでも打ち鳴らしてりゃ「音楽の興がいや増す」に違いないんですが)
演奏会で2台ピアノ曲をプログラムに取り上げる場合、二人の奏者の関係が師弟や年齢差がある場合は、あんまり問題は起こらないんですが、たとえば、音楽学校の同級生同士が2台ピアノ曲を演奏する場合、昨今では2台のフル・コンサートピアノが備えられているホールは珍しくも何ともありませんが、一台はスタインウエイで、もう一台がヤマハかカワイ(この両者とも世界一流のすばらしいピアノです)であることが多く、2台ともスタインウエイってことはまずありません。(スタインウエイを使うとなると使用料は国産の大体2倍に設定されていますし、国産ピアノでしたら懇意の調律師に頼んで調律料を値切ったり、ケチったりすることもできますが、スタインウエイの調律はホール指定の調律屋にしかいじらせないケースが多くてドえらく、高いものにつきます) そこで、どっちがPIANO1で、どっちがPIANO2を弾くか?なんて根本的な音楽上の問題はそっちのけで、どっちがスタインウエイを弾くか? をめぐって、まま、取っ組み合いの大喧嘩になったりしますが・・・・ これは楽屋裏の内緒話です。
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ねこぼーしさん
有名な曲ではサン・サーンスの「動物の謝肉祭」 あれはピアノ2台がステージに並びますね。でも、モーツァルトはピアノ4台(8手)の為の協奏曲を作曲していまして、しかも、これは現在でも演奏会で演奏される機会も多い名曲なんですが、ピアノの割り振りには、きっと、ステージマネージャーは頭を悩ますことでしょう。
「たいめいけん」よく行きました。お料理を頼むと50円でボルシチとコールスルーを註文する権利が生じるんですけど、今でもやっているかな?このシステム。この茂出木シェフ、趣味がこうじて凱旋門の上で「凧上げ」をしてパリ警察に捕まったことがあるってご存じでしたか?
「根暗さや陰湿さや過剰な自信が」 ワッ、言ってくれますね~ でもこの「根暗さや陰湿さや過剰な自信」(くれぐれも私が言ったんじゃ、ア~りませんよ)はどちらかというと、(いいですか、ごくごく内緒の話ですよ、人に言っちゃ~ダメですよ)弦楽器奏者の特徴のような気がします。ピアニストという人種はひたすら「おめでたい」方が多いような、でも、こんなことは、いいですか、くれぐれも・・・・
Posted by: PINK MOZART. | Friday, 23 March 2007 at 21:19
あはは、面白い話ですねえ。
どっちがスタインウエイを弾くかで大喧嘩になるとは!
繊細で冷静に見えるピアノ演奏家もかなり
ドロドロした部分を持っていそうですね。
いえ、それともそういう執念や根暗さや陰湿さや過剰な自信が
一般の人以上にあるからこそ、やっていけるのでしょうか。
PINKYさんはもっといろいろ深い裏方事情を知っているようで、
こういった面白い話がたくさん聞けるのが楽しみです。
「デュオ、デュエット」なかなか複雑な話なんですね。
私は『あずさ2号』の狩人が「デュオ」、
カラオケボックスで男女が一緒に並んで唄うのが「デュエット」
程度にしか思っていませんでした。
「2台8手ピアノ曲」なんてのもあるのですか。
8手でふと思い出しましたが
「たいめいけん」の茂出木心護さんが下っ端の時代に兄弟子に
「8本足のタコを買って来い!」と命じられたそうです。
「兄さん、タコの足は8本ですよ」と聞き返すと
天敵に喰われたりして6本7本足なんかのタコがいるから
注意して買物をしろよ、ということだったそうです。
大蛸だとひとりで「2台8手ピアノ曲」は演奏できますね。
…って気味悪いなあ。すみません。
Posted by: ねこぼーし | Friday, 23 March 2007 at 12:33
Site Cafe Riasさん
なにかちょうど良い写真はないかとNETサーフィンでパクってきたのですが、そのサイトでは音も聞けました。量産されたという話は聞いたことがありませんから試作にとどまったのでしょう。細かいことを考えれば、共振や干渉の問題は解決できないのでしょうが、「人寄せパンダ」としての効果は大きいでしょうね。このメーカーのPLEYER(プレイエル)社、フランスではちょうど我が国のYAMAHAとKAWAIのようにERARD(エラール)社と熾烈に妍を競っていたのですが、残念ながらERARDの方はドイツ資本に買収されてしまいました。
演奏会で「質の揃った」ピアノを「2台」調達する、というのは本当に「大ごと」なので、この「ダブルピアノ」みたいな化け物をを作りたくなる気持ちは、良く理解できます。
Posted by: PINK MOZART. | Tuesday, 20 March 2007 at 23:25
写真のピアノ、すごいですね。
こんなのがあるとは、知らなかったです。
もちろん、きちんと音が出るんでしょうね、両鍵盤とも。
オーダーメイドの特注品なのでしょうか?
Posted by: Site Cafe Rias | Tuesday, 20 March 2007 at 21:47