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Prelude & Fugue.

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プレリュードとフーガ

作曲家の先生がたは自分の作品には、もちろん思い入れが強いのでしょうから、とかく難解な命名をする傾向があります。 わたくしの音楽学校時代、「墓碑銘(epitaph)」とか「習作」(あるいはこの意の各国語題)なんてのを自作に冠するのが猖獗を極めておりました。ご本人はともかく、こういうのを演(や)らされる奏者はたまったものではありません。 本番前の楽屋でも「墓碑銘って、いったいぜんたい誰のかね? 作曲者のバァさまかネ?」とか、「習作だって? アータねぇ、そんなもんでお金取って人に聴かせていいもんかね? なんで、ちゃ~んとした演奏会用の作品をつくんないのかね」 意気の揚がらないこと夥しいものがあります。 今ではこんな題名をつける作曲家は少なくなりましたが、作品は題名などには凝らないで、あっさりと「三重奏曲」「四重奏曲」などの演奏形態で表すか、あるいは「ソナタ」などの、ごくオーソドックスなものにして内容で人を唸らせていただきたいものです。

ところで前回「プレリュード」が和声音楽、「フーガ」が対位法音楽であることを説明いたしました。 和声学と対位法学の東西両横綱のそろいぶみ、ゴジラ対キングギドラ、いや、これはちょっと違うな、そう、「お雛様とお内裏様」のような好一対です。 この豪華な構成の楽曲は現在でも、さかんに作曲されていますが、その場合は「プレリュードとフーガ」という題名は、どちらかというと避ける習慣があります。これは、いうまでもなく「プレリュードとフーガ」という形式を確立した「大バッハ」(Johann-Sebastian BACH)に表敬すべく自作を謙遜し「Prelude. Fugue」の「示小形」である「Preludio & Fughetta」(プレリューディオとフゲッタ)と命名することが世界中で慣例となっています。 自分の作品は「大プレリュードと大フーガ」である、としても少しもかまわないんですが、ま、これは「不文律」というやつです。

ちなみにこの「不文律」という言葉は日本語じゃありません。 明治時代に英語のUnwritten Lawを概念ごと取り入れたもの。元の言葉を減格する働きを持つduo→duette. sonata→sonatina. prelude→preludio. fugue→fughetta. concerto→concertino. symphony→symphonietta. のような語尾群を「接小辞」と申します。

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