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Posts from May 2007

JASRAC

Jasrac

あなたが主催する演奏会、あるいはリサイタルを開催した、と仮想しましょう。すると、翌日、演奏の余韻からか「打ち上げ」の「二日酔い」のどちらかはわかりませんが、醒めやらぬ頭をかかえつつ郵便受けをのぞいてみると、たぶん、ズシリと重い封筒が届いているのをみつけるでしょう。それは、いわずとしれた日本音楽著作権協会JASRACからの音楽著作権使用料の申請書類にほかなりません。演奏会を「人知れず」「秘密裏」に開くことなんて、どだい無理な話です。準備期間中には新聞社の文芸部、関係雑誌の案内欄、フリーペーパー、ミニコミ誌など、ありとあらゆるところに通知を出して、カネ・太鼓入りで演奏会の宣伝をしたでしょう? 敵はこれらに掲載された情報を網羅された組織力ですべからく収集し、「演奏会の主催者・責任者は誰であるか?」を、こちらに確認を求めてくることなどは決してせず、掌握した情報を照合・分析し正しい判断を下したのち、演奏会の翌日あたりをねらって「必殺の刺客」をあやまたず放ってきます。このタイミング、何度経験してもまさに「絶妙」という他はなく、まことに「いい仕事」です。いやむしろ、天晴れです。

現在では音楽著作権使用料の課金システムは簡素になってきましたが、前世紀は非常に煩瑣でした。そも、ある作曲家の著作権が有効か消滅しているかもわかりにくいのです。原則的に死後50年で著作権は消滅するのですが、その作曲家の国籍が属す国家が戦争の当事国になった場合は、交戦状態にあった期間は著作権の時効が停止しますから、その期間分延長されたり、国によっては著作権は死後70年間保護されるなど、大変に複雑な要素が関わってきます。

「これは差別じゃないかい?」と思えるものに料金区分に「純」と「軽」がありました。クラシック音楽作曲家の著作使用料は「軽」音楽作曲家の2倍です。どうも、よくわからないのですがJohn WILLIAMS(STAR WARSの作曲者)は「軽」でした。

申請書を書く際にも、特別なテクニックがありました。以前は著作権使用料というものは「5分間につきいくら」でしたから、たとえば演奏時間16分45秒の曲でしたら「14分58秒」に過少申告すると、これで使用料は4分の3に減額できます。が演奏時間18分を超えるものを15分以下に書き換える図々しさは、ついに持ち合わせませんでした。

申請書類を書き上げ、返送しますとJASRACが審査し、著作権が消滅した曲の部分には【PD】のスタンプを押し、使用料の発生するものにはその料金を記入した書類と合計金額分の振り込み用紙が送り返されてきますから、その料金を振り込んで一件落着です。まぁ、原則的にはこの手続きは演奏会を開く前に申請し「音楽著作物利用許諾証」を発行してもらわないかぎり演奏してはならないのがタテマエなのですが、前述の「5分間につきいくら」の時代でしたから「申請する際は楽曲演奏時間の精密なる記載を期す」ゆえに「あと出し」が慣行でした。
今、巷で問題視されているのは、JASRACは、そうして徴収した音楽著作権使用料を、はたして正統な受取人に正しく還元しているか?なのですが、そんなこたァ、わたしごとき者の知ったこっちゃありません「法律は法律」として墨守するまでです。

それよりも、このインターネット時代、ネットで流す音楽にもこの著作権使用料はかかります。使用する曲の著作権が有効か?消滅か?は申請書を出せばむこうが調べてくれるわけではなく、こちらがJASRACの運営するJ-WIDというサイトで予め調査したのちに申請しなくてはなりませんが、このJ-WIDなるシロモノが複雑怪奇でして申請曲のJASRAC登録番号を割り出すには、よほどの幸運に恵まれないかぎり、まず不可能です。そこでこのごろは一計を案じ、カマトトぶって「こんど、わたしのブログで××って人が書いた○○っていう曲をパソコンで作って、みんなに聞かせたいな、と思っているんですが、それには音楽著作権料というものを払わなくてはいけないよ、と学校の先生が心配しています。本当ですか?どうか教えてください。」なんてメールを送信します、すると敵はご丁寧にも「当該曲はJASRAC登録番号第X■●△という当法人の管理作品であるによって、なんたらかんたら・・・・」と返信してきますから、なんなく登録番号をひきだす術を心得るにいたりました。

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TCHAIKOVSKY:SERENADE in C. I_PEZZO in FORMA di SONATINA.

Tchaikovsky

チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」
第1楽章:ソナチネ形式の小品

大作曲家として名高いチャイコフスキー。しかし現在、彼の作品で演奏される管弦樂曲は驚くほど少なく、交響曲4・5・6番、ピアノとヴァイオリンの協奏曲、序曲「1812年」「ロメオとジュリエット」 組曲「白鳥の湖」「胡桃割り人形」「ロココ(チェロと管弦樂の為の)」そして、この「弦楽セレナーデ」ほとんどこれですべてです。
音楽学者はチャイコフスキーが生涯苦しんだ精神疾患により彼の作品には破綻が多く、結果として演奏される曲が少なく、しかも有名な第6交響曲「悲愴」も欠点が多いと、しばしば指摘します。

さまざまな文献によりますと、この「弦楽セレナーデ」が作曲された1880年は彼の生涯において、もっとも精神状態が良かった年とされています。その影響かどうかはわかりませんが、この曲には破綻や瑕疵のない、堂々たる「泰西名曲」です。

セレナーデの直訳は「夜曲」 恋人の窓の下で歌う恋歌という意味と、器楽の合奏曲、特定の人への賛歌、あるいは祝典曲の意味も持ち合わせますが、ひろく演奏会用の作品名としても用いられます。原曲は弦五部(第一・第二ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス)の合奏曲。チャイコフスキーは書簡のなかで「この弦楽セレナーデの第1楽章はモーツァルトに対する私からの賛歌です」と述べたものが現存しています。

【追記5月23日】 ねこぼーしさんが「弦楽セレナーデ」に想を得て創作された詩GALERIE PINK MOZARTに掲載しました。

 Andante non troppo.-Allegro moderato.
 C-G-C. 6/8
  287bars. [duration 8:39] OGT122

  transcrit par PINK MOZART(2007) 

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TCHAIKOVSKY:SERENADE in C. II_WALZER.

チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」
第2楽章:ワルツ

  Moderato.Tempo di Valse.
   G. 3/4.
   223bars. [duration 3:48] OGT122

   transcrit par PINK MOZART(2007)

   

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TCHAIKOVSKY:SERENADE in C. III_ELEGIE.

チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」
第3楽章:エレジー



【第37~38・第145小節のミスを修正しました(5月18日)】
【第28小節のミスを修正しました(6月14日)】
 Larghetto elegiaco.
  D. 3/4
  162bars. [duration 9:20] OGT122

  transcrit par PINK MOZART(2007)

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TCHAIKOVSKY:SERENADE in C. IV_FINALE.Tema Russo.

チャイコフスキー「弦楽セレナーデ」
第4楽章:ロシア風の主題による終曲


【第241小節のミスを修正しました(5月23日)】

 Andante-Allegro con spirito.
  G-C-Es-C. 2/4.
  449bars. [duration 7:32] OGT122

  transcrit par PINK MOZART(2007)

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HIPPOPOTAMUS.

Hippo_logo

イポポタミュ・ステーキハウスチェーン

1995年の夏、訳あって合衆国のワシントン州シアトルとオレゴン州のポートランドに合計で10日間滞在したことがあります。町でよく目にする、というより両市いずれにおいても風景の一部になっているほど数多く存在しているコーヒー・スタンドがあり、何度もそこで喉を潤しました。このお店のメニュウはヴァラエティに富んでいて、どれもなかなかの品質でしたし、極めつけに優れた点は日本より逆輸入の「アイスコーヒー」が数多くの種類を取り揃えられていることでした。これは日本に上陸すると流行るだろうなぁ、と密かに思っていましたら、翌96年にはやくも上陸、3年もたたないで日本にチェーンを展開し大成功を収めました。そのお店の名前はSTARBUCKS COFFEE。

PARISの普通のレストランで一番安いのが「ステーキ」 
でも星の付いていないレストランやカフェのステーキなんてまずいですよ。いや、ステーキに限らず、どんなものを食べてもゲッソリすること請け合いです。日本のファミリーレストランが「ポール・ボキューズ」に思えてくるほど「食都」市井の外食事情には惨憺たるものがあり、これがミシュランの星一つでも付いているレストランともなると事情はガラッと変わり、まさに極楽のような美食にありつけるのが、フランスの不思議なところです。

そんななかにあって、私が愛してやまなかったのがHIPPOPOTAMUS「イポポタミュ」のステーキハウス・チェーン。 当時、PARIS市内に7店舗ほどありました。値段も安く、ステーキも及第点。土日も開いていますし夜中の2時までやっていますから演奏会(たいてい夜の9時に始まります)の終わった後でも食べられます。なにより良いのはサーヴィスのマニュアルがあるらしく、どのお店に行っても画一的ではあるんですが、高基準のサーヴィスが徹底していることで、これは実に画期的なことでした。

「そのうちHIPPOPOTAMUSは日本に進出してくるに違いない」と楽しみに待っているのですが、ウン十年たってもこれは実現しませんでした。 ま、もっとも、あのパリジェンヌによるフランクなサーヴィスを日本人のおネエちゃんがやっても、ちっともおもしろくないかな?

【追記】HIPPOPOTAMUSチェーンのHPをのぞいてみましたら、現在は有名なFLOチェーンの傘下にあり、やや高級版のHIPPOPOTAMUS CLUBも数店開店し、店舗数も爆発的に増え、いまやフランス全土とフランス語圏の海外まで展開しているようなので、うれしく思いました。

【追記2】現在のメニュウを子細に見てみますとHIPPOPOTAMUSチェーンはステーキハウスからは脱却し魚料理、寿司、KIDSメニュウまでも揃えた予算的にも一人4~5千円のファミリーレストランに変貌しています。さらに午後二時から七時の閉店時間がなくなり店舗・曜日によっては午前五時まで営業しています。

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SATIE:SONATINE BUREAUCRATIQUE.

Satie_2

エリック・サティ「官僚的なソナチネ」(1917)

左Side bar topのARCHIVES PINK MOZARTのマークでリンクされている(クリックで入れます)PODCAST JUICE MP3アーカイヴの1ページが20ファイルずつなのに気づき、現在15曲が入っていますから、今週もFILL UPの一曲です。
このSONATINE BUREAUCRATIQUEにはサティ自身が書いたストーリーが存在し、それが楽譜の上に記入されています。全文を時間軸に添ってGALERIE PINK MOZARTに掲載していますので興味のある方はご訪問ください。*なおANNEXE DEUXでは左上に設置されているWMPでソナチネの再生が可能になっています。  
【***現在はMP3へのダイレクトリンクを設置しています***】
ちなみに、この曲はクレメンティのソナチネ1番のパロディです。
来週はチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」全4楽章を公開する予定にしていますので、すっきりとPJの1ページ目を閉じることができる算段です。

 

    Erik SATIE:Sonatine Bureaucratique(1917)
    total 198bars A-3/4, D-9/8. A-3/4.
    Allegro.  Andante. Vivache(Vivace) [duration 4:25]
    ONGAKU NO TOMO:SATIE.Œuvres pour piano.

      transcrit par PINK MOZART(2006)

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the Jargon for us.

Mendelssohn

メンコン、チャイコン、ドヴォコン

写真の人物は誰でしょう?答えは作曲家のメンデルスゾーン。一番有名な曲は、なんといっても「ヴァイオリン協奏曲」でしょう。この曲、この時代では珍しいのですが、楽章こそ3つに分かれていますが、楽章間が間奏でがつながっていますから、結果として一楽章形式になっている、なんとも小ジャレた造りの名曲です。で、われわれは決してこの曲のことを「メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲」なんては呼びません、これは「メンコン」と申します。メンコンのコンはコンチェルト(協奏曲)の略です。 あまり識られていないのですが、メンデルスゾーンはピアノ協奏曲も2曲書いてはいますが、メンコンというとヴァイオリン協奏曲のみを意味します。

中学の時、「音楽」の時間に三大ヴァイオリン協奏曲とは、ベートーヴェン・メンデルスゾーン・チャイコフスキーの協奏曲のことである。などと、とてつもない戯言を吹き込まれた憶えがあります。その三大のうちのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、これまた「チャイコン」と呼び、親しまれております。チャイコフスキーの場合「ピアノ協奏曲」の方も有名ですが、この、われわれが使う隠語は主にオーケストラ団員の略語ですから、「チャイコン」というと九割方、ヴァイオリン協奏曲のことです。

これらの省略法の元祖になったのが「ドヴォルザークのチェロ協奏曲」 これを略して「ドヴォコン」と、われわれの先祖が呼び慣わしたのが、そもそもの始まりです。もっとも「ドヴォコン」はチェロ協奏曲のみを指すわけではなく、会話のコンテキストによっては「ドヴォルザークのヴァイオリン協奏曲」を意味することもあり得ます。

ほかによく使われるのはシベリウスのヴァイオリン協奏曲「シベコン」かなぁ? まちがっても訳知り顔でベートヴェンやブラームスのヴァイオリン協奏曲を「ベトコン」とか「ブラコン」なんて呼んじゃだめですよ、そういう呼び方は絶対にいたしません。 
わたしが常々「おもしろいなぁ」と思っているのは、ブラームスの交響曲第一番・第二番を「ブラいち」「ブラに」という習慣がひろまってきたこと。すくなくとも昔の音楽学校やオーケストラでは使わない略語でした。これは、むしろ「トーシローさん」の愛称の逆輸入なのです。

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SATIE:PREMIER MENUET.

Satie

エリック・サティ 「最初のムニュエ」

本日のプログラムはErik SATIEのPremièr MENUET.
サティは54歳、1920年の作品です。題名を訳すと「最初のメヌエット」になりますが、実は彼のピアノ作品としては最後のものとなり、サティは、この後死までの5年間は声楽曲、バレエ音楽と映画音楽の作曲に専念しました。
イメージはSuzanne VALADONによるサティの肖像画です。



 Erik SATIE:Premièr MENUET.(1920)
 e. 49bars. 3/4.  [deration 1:49]
  ONGAKU NO TOMO. SATIE:Œuvres pour Piano.

  transcrit par PINK MOZART(2007) 

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SUPERMAN. OPEN SESAME!

Superman

スーパマンとひらけゴマ!

PARISのフランス語学校での休憩時間に世界各国から集まった生徒達と「赤いマントを着て空を自在に飛ぶヒーロー」を自国語で何というのか?を披露しあったことがあります。

フランス語では「シュペルマン」 ドイツでは「ズッパーマン」 でも一番ウケたのは日本語の「スーパーマン」でした。 わたしが日本語の発音で「スーパーマン」というと、全員、腹を抱えて笑い転げました。どの言語でも、まちがいなくSUPERMANの最初の音節SUに強いアクセントがあるのに反して日本語では二音節目の「パー」にアクセントがあります。これが日本語以外の言語を母語とする人々には、どうやらとてつもなくエキゾチックに映るらしいです。

別の機会にわたしが「ひらけゴマ!」は各国語で、どう表現するのか?を各国の生徒に聞いてみました。すると意外にも、どの言語においても「ひらけ!」と「ゴマ」を意味する単語で表現するのを知りました。 世界各国「アリババ」の原典のギリシャ語だかセム語をそのまま訳したのでしょう。

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