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DAWN.part1.

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わたしとコンピュータの邂逅 その1

たしか、私が小学校にも上がらないある日、父がポータブルの心電図測定器を持ち帰ってきたことがありました。父の職種に心電図はまったく結びつきませんし、仕事上で「東芝」と関係はあったように思いますが、そも、父は電器や電子関係の技術者ではありません、なぜ、あの日、心電図測定器を我が家に持ってきたのか冥府にいる父に訊ねてみたいものです。それよりも、もっと不思議でしたのが、父はその測定器の構造によほど詳しいとみえ、幼いわたしに機械の説明をしてくれて、とりわけ印象に残っているのは「この紙に記録する動く針に触ってはいけない、熱いから触るとやけどをする」「この紙は不思議なんだよ」と言って、慣れた手つきで記録紙ロールを取り外し、少しちぎってお湯に浸して実験してくれました。「ほら、真っ黒になるだろう、この紙はインクで記録するわけではなく熱に反応して黒くなるんだよ、だから記録針を熱して、この紙の上をなぞらせるのさ」 この奇妙な「紙」のことは子供の私を深く感心させ、決して忘れることはありませんでした。

約四半世紀後、わたしが初めて買ったワードプロセッサは家庭用の嚆矢となったシャープ社製「ミニ書院」でした。 ワードプロセッサ黎明期の製品は、今考えると実に原始的なもので変換は熟語変換でした。これは文節変換とは異なり「変換は」と漢字を入力しようとする場合→ヘンカンと入力し変換キーを押して確定し、そののちに「は」を送らずに、最初からヘンカンハと入力すると、もう受け付けてはくれません、それでも少し前の「単漢字変換」や信じられないでしょうが連想変換と言って、「変換」を入力するのに「変化の変」「交換の換」とキーボードから入力しなければならない変換方式に較べると格段と進歩したものでした。言い添えますと、この連想変換とは「連想」とはいえ、漢字に対する各人の自由な連想を入力するわけではなく、各漢字ごとに対応する連想語がきっちりと設定されていますから、それを全部憶えるか、表を見ながら入力してゆくわけです。

ハードもそれを上回るくらい笑えるもので、表示部は電卓の液晶とさほど変わらない一行で12文字のみ、メモリは1100字分、使える漢字は第一水準のみ、そもメモリ1100文字とはスペースも一文字に換算されますから、せいぜい原稿用紙2枚分が限度でした。このメモリ枠に達すると、いったん文書をセーブしなくてはならないのですが、そのセーブのメディアは、なんとカセットテープでした。フロッピーディスクは、もちろん開発されていましたが当時は大型の扱いにくい8インチフロッピー が主流で、なによりも高価な機器でしたから、ホームユーズにまでは普及していません。そこで、カセットテープの出番となるわけです、これも家庭用ラジカセではセーブの成功率がかなり低くなるので専用のデータレコーダというガゼットが別売されていて、音楽とは違い、ごく限られた帯域の音を録音するデータセーブ専用の両面で10分のカセット(もちろん音楽用のカセットテープの流用も可能でしたが片面45分もありますと、そのどこに目的の文書データがあるか?を見つけ出すのが大ゴトでした)に原稿用紙2枚分の入力を終えると、セーブしてはメモリをリセットして入力を再開する手間が必要です。(イメージは片面5分のデータセーブ専用のカセットです)
印字は「古き良き」熱転写方式、インクリボンカセットを使うか(コストと時間がかかる)それなしに感熱紙(安価)に記録する(やや高速に印字できますが一年もすると一面真っ黒になって用を為さなくなるので、大量にプリントする場合は感熱紙に印字し、それをコピー機でコピーしておく)方式でしたから「感熱紙」を使うと知ったとたんに、心電図の記憶がよみがえり「な~んだ、人類はちっとも進歩してないな」とため息が出ました。【つづく】

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文化・芸術」カテゴリの記事

Comments

Film "ALIEN" すばらしい作品でした、格調高く、極端に恐ろしく、なによりJerry GOLDSMITHの音楽が良かった、特にlandingシーンとエンドクレジットの音楽(これはOSTに入っていません)は名作です。コンピュータMOTHERのサウンドFXも未来的かつ効果的でした。 ですが、数年後「書院」を使い始めると、そのセーブの度に「その音」を発しましたから「な~んだ」と、ちょっとがっかりしました。

感熱紙をクリアファイルに保存しても、そのクリアファイルの材質に反応して結局は変色しちゃうんですよね。それで、結局はインクリボンで印字、あれは遅いし、それに、よく印字途中でリボンがお終いになりましたよね、ストレスでした。今でも押し入れには「データセーブ」専用カセットが整然と残っていますが、捨てようっと。

IBM5100とタイターさんの記事、読みました。次回は、わたくしの2台目のWP「文豪mini5」を記事にする予定なのですが、このmini5に実はマニュアルにも、NEC自身も絶対に認めていないIBM5100を遙かに凌駕する「隠し機能」があり、そのマニアクラブも存在したのをご存じですか? 
あれ、とっときゃよかったな~・・・・

Posted by: PINK MOZART. | Friday, 22 June 2007 at 01:35

う~む。音楽ばかりか、この手の話題も、私の好みと知ってのことでしょうか? あまりにもピタリとツボにはまりすぎです。こういうローテクなメカって好きなんです、実は。ま、「ラジオ好き」ということからも、伺い知れそうですが。

ワープロ・・・すごいよなあ。もちろん今は使ってなくて、愛機(NEC「文豪」)は押入れの一番奥で隠居生活を送ってますが。

熱転写方式、インクリボンカセット、感熱紙・・・そう、あれ、感熱紙をコピーしておかないといけなくてね。それでも心配だから細心の注意を払って、クリアファイルに保存してました、変な折れ目をつけないために。

記録メディアがカセットテープ・・・ありましたよねえ。「音が聞けないカセットって、何じゃ?」って思いましたよ、初めて知った時。

ポータブルの心電図測定器・・・これは実物を目にしたことはありませんが、恐らく同時代なのかなあ。私が印象に残ってるのは電卓です。父が会社から持ち帰ってきた厚さ5cmの分厚いカシオの電卓とか、祖父が持ってた松下のカバー付きの卓上電子計算機とか。前者は電池でも動いたけど、すぐに電池切れして、おまけに消耗が進んでくると計算も表示も怪しくなる。後者は確か電源をコンセントからとるタイプでした。

ちなみに、平成生まれの姪は「自分でレコードを再生して聴いた経験がない」といってましたよ・・・。

少し脱線しますが、ローテクついでに、こんな話題も。実は最近、こんなPCがちょっと気になってるんです。

IBM 5100 - Wikipedia, the free encyclopedia
http://en.wikipedia.org/wiki/IBM_5100

その理由が、またまた更に脱線するんですが。というのは、このマシンを手に入れるために、ある人物が未来から来てたそうで(真偽不明)・・・。

ジョン・タイター - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%BF%E3%82%A4%E3%82%BF%E3%83%BC#.E3.82.BF.E3.82.A4.E3.82.BF.E3.83.BC.E3.81.AE.E4.BD.BF.E5.91.BD

Posted by: Site Cafe Rias | Friday, 22 June 2007 at 00:31

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