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Posts from June 2007

RAVEL:I-PAVANE de la BELLE au BOIS DORMANT. MA MERE L'OYE.

Jardin_feerique007_4 第1曲「眠れる森の美女の
パヴァーヌ」

子供のための5つの作品「マ・メール・ロワ」は原題のとおり、友人ゴデブスキ夫妻の子供達、ミミーとジャンのために1908~1910年にかけて作曲された4手ピアノ組曲です。マ・メール・ロワは英語では「マザーグース」。
この曲は幼児が演奏するには難度が高すぎて結局、初演はコンセルヴァトワールのピアニストによって、お披露目されました。原曲の4手ピアノ版は演奏会でプログラムとして取り上げるには技巧が平易すぎ、音楽の内容が幼児向けとあって、あまり顧みられる機会が少ないのですが、1911年、ラヴェル自身による編曲の管弦楽版は、これはもう、掛け値なく「近代管弦楽法の精華」ともいうべき、すばらしい作品ですから演奏される機会も、人気も非常に高いレパートリーとなりました。

翌1912年、ラヴェルは曲順を入れ替え、5曲を一繋ぎにした全曲で約30分にもおよぶバレエ組曲版も完成させ、この舞踏組曲版「マ・メール・ロワ」も、現代のオーケストラ演奏会でプログラムとなる機会が多いのですが、こちらのほうはバレエ付随音楽としてはともかく、中核となる5曲は全く同じ内容で、長大な前奏と間奏で連結させたものですから純粋音楽として鑑賞するには、やや冗長すぎる気がします。

有名な「眠れる森の美女の物語」に基くオープニング、原作の寓話は何十というヴァリエーションが存在し、皆さんがよくご存じのストーリーは、たぶんグリム兄弟版。ただし、この「パヴァーヌ」の底本はフランス人で「赤ずきんちゃん」などの原作者として有名なシャルル・ペロー作品に因んでいます。
(イメージはPINK MOZART版「妖精の楽園」コーダ部の楽譜)
     日本語版WIKIPEDIA『ペロー版:眠れる森の美女』  

 
    Lent.  a.  4/4. 20bars [duration=1:26]
    Edition DURAND(ref'=7746) score(ref'=8300)
    transcrit par PINK MOZART(2006)

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RAVEL:II-PETIT POUCET. MA MERE L'OYE.

第2曲「親指小僧」

「親指小僧」は「一寸法師」の訳を充てる場合もありますが、法師ったってお坊さんじゃありません。これもシャルル・ペロー原作の寓話=貧しい家に男の子がさずかる、が男の子は年々成長するどころか逆にますます小さくなってゆき息子の畸形を儚んだ父親は、ある日森の奥深くに置き去りにし餓死させようとする。男の子は父のたくらみを察し、帰り道の目印としてパンのかけらを道々落としてゆくが、このパンを小鳥たちが啄み、帰ることは出来ない、という悲しく残酷な物語ではあるんですが、わたくし、いつもこの話に触れるたびに不思議に思うんですね、なにもそんな悲惨な結末を選ばなくても、その時代で息子が、かくも「レアもの」であるならば、「王侯・貴族に売」って愛玩してもらうなり、間諜として大活躍するなり、もしくはフリーク・ショウを各地で開催し、みんなの人気者になって収入も得、一家揃ってシアワセになるストーリーほうが、よっぽど、おもしろくて教育的なんじゃないかと?首をかしげてしまいます。
「それで、森で迷ったあわれな親指小僧はどうなった!」ですって? しりませ~ん。


  Très modéré. c. 2/4. 80bars [duration=3:37]
  Edition DURAND(ref'=7746) score(ref'=8300)
  transcrit par PINK MOZART(2006)

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RAVEL:III-LAIDERONNETTE, IMPERATRICE des PAGODES. MA MERE L'OYE.

第3曲「パゴダの女帝レドロネット」

ある貴族の館(シャトー)に世界各地から集めた膨大な数の人形達が、人間どもが寝静まった深夜から早朝にかけて、ひそかに饗宴を開催する、その様子をユーモラスに描いた情景音楽です。この人形達の女帝として振る舞う人形(陶製の東洋風首振り人形)の名がレドロネット。 いいですか、わたくし、この文章は誠心誠意・まごころを込めて書いちゃいるんですが、ただのヘッポコDTMアレンジャーがブログに載せる埋め草記事ですから学術的信憑性においては[NUL]  ゆえに、この記事をいかなる種類の元ネタにしてはいけませんよ。それを重々お願いして、「知っている限り」を御紹介しますが→この「レドロネットの首は前後上下にペコペコするワケじゃなく、ちょうど「バリダンス」のように真横に動きます。それとフランス語「パゴダ」とは狭義の「仏舎利搭」の意味ではなく、要するにオリエンタルな雰囲気を持つ建築物や仏教寺院を意味し、たとえば「五重の塔」なども「5層パゴダ」と申します。この題名は「レドロネット人形」に付属する東洋的な「飾り台」もしくは非常に東洋的装飾を施された「リカちゃんハウス」的な「人形ケース」をパゴダに見立てたのではないか?と考えられます
原曲はド・レ・ファ・ソ・ラの東洋5音階を半音上げた嬰へ長調(とはシャープ6つの調号です)で作曲されていますので、原曲ピアノ版PRIMOは全曲黒鍵のみで演奏します。


  Mouvement de Marche. Fis. 2/4. 196bars [duration=3:32]
  Edition DURAND(ref'=7746) score(ref'=8300)
  transcrit par PINK MOZART(2006)

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RAVEL:IV-LES ENTRETIENS de la BELLE et de la BETE. MA MERE L'OYE.

第4曲「美女と野獣の対話」

これまた有名なストーリー=「美しい娘が父を捜しに森に迷い入ると、そこに世にもおぞましい、あさましい姿の獣が出現します。すったもんだのやりとり、かけひきの結果、この野獣のプロポーズを娘が受け入れると、魔法の呪縛が解かれ野獣は本来の王子の姿を取り戻す様子を描いた情景音楽です。ラヴェル編曲のオーケストラ版では美女の旋律をクラリネットが、野獣の旋律をコントラバスーンで表現します。フランス人マダム・ドルノワによる寓話「緑色の蛇」に基づいています。

 
   Mouvement de Valse très modéré.  F. 3/4. 173bars.
   [duration=4:21]
   Edition DURAND(ref'=7746) score(ref'=8300)
   transcrit par PINK MOZART(2006)

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RAVEL:V-LE JARDIN FEERIQUE. MA MERE L'OYE.

終曲「妖精の楽園」

第一曲の「眠れる森の美女」が王子様のキスによって目覚めるシーンを描写した、短くも美しく、感動的なフィナーレです。

 
   Lent et grave.  C. 3/4. 56bars.[duration=3:22]
   Edition DURAND(ref'=7746) score(ref'=8300)
   transcrit par PINK MOZART(2006)

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DAWN.part2.

Mini5g_1 わたしとコンピュータの邂逅 
その2

【承前】原稿を提出する機会の多かったわたしは、「字がきたない」という劣等感を克服してくれる、この「初号機」を「なんとかならないものか」と痛感しながらも使い続けたものです。ちょうどこの時期に16bit-CPUの供給が始まり家庭用WPも長足の進歩を遂げていましたが、すぐに新しいマシンに飛びつくことはせずに、新製品が発表される度にショップを訪れては、そのマシンの実力を試すのが一種の趣味になりました。当時はたしか四半期毎に大手メーカーが大々的なキャンペーンをともなって、新機種の覇を競っている時代で活気もあり、機能も「文節変換」から「連文節変換」に進化し、またようやく第二水準漢字搭載も標準的になってきました。結局、わたしの「初号機」はこの第二水準漢字が使えない点がクリティカルとなり慎重に後継機の選定を進めていたなか、ついに「おお、これは!」と思わせるほどすばらしいパーソナル・ワードプロセッサにめぐり逢いました。
それがNEC製「文豪mini5G」でした。

昔、WPの文書品詞解析能力の実力を試してみる構文として、よく使われていたものに:「貴社の記者が汽車で帰社する」という有名な定文があり、ショップを訪れた際は手当り次第に、この「バカのひとつおぼえ」で新機種を試していたような記憶があります。(いまだに、この定型文は「指」が記憶」していて「秒殺」で入力できるほどです)「文豪mini5G」はこの検査にパス、変換方式は文節ごとにに変換キーを押さなくてもよい「自動変換」方式を謳ってはいましたが、それは実用にはほど遠いものの、文節変換にすると変換はなかなか正確で、(よく思い出しては笑うのですが=バグっていたらしく「ふらんす」と入力すると必ず「腐乱す」と変換するミョーなクセがあり、辞書に登録しようが学習させようがダメ、「フランス」という頻出語の度に「腐乱す」が
ゾンビのごとく出現するのにはウンザリしました。ある日、熟語「腐乱」を単語ではなく範囲指定で「す」まで延ばして「文節」として再変換すると以後は「フランス」と学習変換するのに気がつき、スイッチ投入後は最初に「フランス」の文節長を学習させるのがルーチンであった、という非常に「おちゃめ」な一面もありましたが)扱いに習熟し登録辞書機能・学習機能を充分に涵養してNHKのTVニュース聴取速記に挑戦すると、なんと10分間に3600文字もの漢字混じり文入力が出来る、まことに実用的な「弐号機」でした。

Zailog-Z80の16bit-CPUで「データレコーダ」に慣らされた身には驚異的に素速く処理の完了するマイクロ・フロッピーディスク(その当時は、昔のドーナツ盤くらいの大きさの紙製のケースに包まれたミニ・フロッピーディスクというものが主流でした)と8000字文メモリを装備し、別売ROM装着により英文のスペルチェックまで可能なバイリンガルWPでした。また「文豪mini5G」の摩訶不思議な、メーカからは公表されていない機能に「ウラ技」起動方法でスイッチONにすると「WPではなく」CP/M-86というDegital Research社が開発したCONTROL PROGRAM for MICRO-COMPUTERというDOSをROMで装備した「完全なるマイクロ・コンピュータ」として起動する特長がありました。ノートパソコンなど存在しない時代にラップトップサイズでFDDまで備ていたのはマニア達にとってはよほど魅力的なのか、この「コンピュータ」の能力を極限まで駆使して、さまざまなプログラムを、その道の雑誌に発表しては賑わしていましたが「コンピュータ、ソフトが無ければただの箱」とは、よく言ったもので「門外漢」のわたしは 専らそのWPとしての性能を大いに享受したものです。
「文豪mini5」眷属の命脈は長く、現在でも「郵便番号7桁にも対応できます」などの惹句でオークションで取引されています。【つづく】

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RAVEL:I-PRELUDE. Le Tombeau de COUPERIN.

Ravel_m

モーリス・ラヴェル:「クープランの墓」よりプレリュード

ロバート・ゴダードのいう「あの戦争」=第一次世界大戦がはじまると、ラヴェルは39歳にして敢然と志願を申し出ますが、すでに大作曲家であった名声を慮る以前に標準体重に達していなかった身体条件を理由にフランス共和国陸軍は入隊を拒否、それでもラヴェルはあきらめず救護隊員として志願、病院や輜重隊のトラックの操向転把を握り勇躍、戦場を駆けめぐりました。やがて戦線で赤痢を得、やむなく除隊したときには身体的・精神的に極度の疲労により艶やかな頭髪は銀一色に変わり果てていたそうです。
その従軍中に構想を練り除隊後に書き上げられた2手ピアノ組曲「クープランの墓」はラヴェルにとって最後のピアノ作品になり、3年後の1920年にはラヴェル自身により管弦楽組曲に編曲されました。【GALERIE PINK MOZARTをご参照ください】

「クープランの墓」とは新古典主義をうち建てたラヴェルより大先達フランソワ・クープランに代表される「フランス古典音楽」への頌賛歌とされています。各楽曲の冒頭にある献辞は従軍中の知己へのものとなっていますが、第4曲リゴドンの「ピエールとパスカル・ゴーダン」は着弾した一発の砲弾により同時に散華した悲劇的な御兄弟に献げられています。

なお、フォルラーヌ・リゴドン・ムニュエは古典的な舞踊曲の題名です。

 
  Vif. e. 12/16. 123bars.(in actual)
   [duration 3:16] Edition:DURAND(9569)
 
    transcrit par PINK MOZART(2006)

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RAVEL:II-FUGUE. Le Tombeau de COUPERIN.

モーリス・ラヴェル:「クープランの墓」よりフーガ

わたくしに和声学を教えてくださった末吉先生の口癖の一つが「フーガとは人類の生み出したもっとも知的な構造物である」というもので、先生がこの言葉を口にされるたびに、クラスが「大げさすぎる」と失笑につつまれました。 が、このラヴェルの精緻極まるクロノメーター・ムーヴメントのように組み立てられた「クープランの墓」のフーガを聴くたびに、その言葉が少したりとも誇張でないことに同意せざるを得ません。「ジャン・クリュッピ少尉の思い出」に献げられています。

  
   Allegro moredato. e. 4/4.
     61bars. [duration 3:10] Edition:DURAND(9569)
 
     transcrit par PINK MOZART(2007)

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DAWN.part1.

Datum_recoder_1

わたしとコンピュータの邂逅 その1

たしか、私が小学校にも上がらないある日、父がポータブルの心電図測定器を持ち帰ってきたことがありました。父の職種に心電図はまったく結びつきませんし、仕事上で「東芝」と関係はあったように思いますが、そも、父は電器や電子関係の技術者ではありません、なぜ、あの日、心電図測定器を我が家に持ってきたのか冥府にいる父に訊ねてみたいものです。それよりも、もっと不思議でしたのが、父はその測定器の構造によほど詳しいとみえ、幼いわたしに機械の説明をしてくれて、とりわけ印象に残っているのは「この紙に記録する動く針に触ってはいけない、熱いから触るとやけどをする」「この紙は不思議なんだよ」と言って、慣れた手つきで記録紙ロールを取り外し、少しちぎってお湯に浸して実験してくれました。「ほら、真っ黒になるだろう、この紙はインクで記録するわけではなく熱に反応して黒くなるんだよ、だから記録針を熱して、この紙の上をなぞらせるのさ」 この奇妙な「紙」のことは子供の私を深く感心させ、決して忘れることはありませんでした。

約四半世紀後、わたしが初めて買ったワードプロセッサは家庭用の嚆矢となったシャープ社製「ミニ書院」でした。 ワードプロセッサ黎明期の製品は、今考えると実に原始的なもので変換は熟語変換でした。これは文節変換とは異なり「変換は」と漢字を入力しようとする場合→ヘンカンと入力し変換キーを押して確定し、そののちに「は」を送らずに、最初からヘンカンハと入力すると、もう受け付けてはくれません、それでも少し前の「単漢字変換」や信じられないでしょうが連想変換と言って、「変換」を入力するのに「変化の変」「交換の換」とキーボードから入力しなければならない変換方式に較べると格段と進歩したものでした。言い添えますと、この連想変換とは「連想」とはいえ、漢字に対する各人の自由な連想を入力するわけではなく、各漢字ごとに対応する連想語がきっちりと設定されていますから、それを全部憶えるか、表を見ながら入力してゆくわけです。

ハードもそれを上回るくらい笑えるもので、表示部は電卓の液晶とさほど変わらない一行で12文字のみ、メモリは1100字分、使える漢字は第一水準のみ、そもメモリ1100文字とはスペースも一文字に換算されますから、せいぜい原稿用紙2枚分が限度でした。このメモリ枠に達すると、いったん文書をセーブしなくてはならないのですが、そのセーブのメディアは、なんとカセットテープでした。フロッピーディスクは、もちろん開発されていましたが当時は大型の扱いにくい8インチフロッピー が主流で、なによりも高価な機器でしたから、ホームユーズにまでは普及していません。そこで、カセットテープの出番となるわけです、これも家庭用ラジカセではセーブの成功率がかなり低くなるので専用のデータレコーダというガゼットが別売されていて、音楽とは違い、ごく限られた帯域の音を録音するデータセーブ専用の両面で10分のカセット(もちろん音楽用のカセットテープの流用も可能でしたが片面45分もありますと、そのどこに目的の文書データがあるか?を見つけ出すのが大ゴトでした)に原稿用紙2枚分の入力を終えると、セーブしてはメモリをリセットして入力を再開する手間が必要です。(イメージは片面5分のデータセーブ専用のカセットです)
印字は「古き良き」熱転写方式、インクリボンカセットを使うか(コストと時間がかかる)それなしに感熱紙(安価)に記録する(やや高速に印字できますが一年もすると一面真っ黒になって用を為さなくなるので、大量にプリントする場合は感熱紙に印字し、それをコピー機でコピーしておく)方式でしたから「感熱紙」を使うと知ったとたんに、心電図の記憶がよみがえり「な~んだ、人類はちっとも進歩してないな」とため息が出ました。【つづく】

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RAVEL:III-FORLANE. Le Tombeau de COUPERIN.

モーリス・ラヴェル:「クープランの墓」よりフォルラーヌ

原曲では全曲にわたり5回のbisがありますが、PINK MOZART版ではすべて省略しましたので約3分間ほど短縮されました。「ガブリエル・ドゥリュック大尉の思い出に」の献辞が記されています。

  
   Allegretto. G-E-G. 6/8.
     159bars. [duration 4:26] Edition:DURAND(9569)
 
     transcrit par PINK MOZART(2006)

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RAVEL:IV-RIGAUDON. Le Tombeau de COUPERIN.

モーリス・ラヴェル:「クープランの墓」より リゴドン

ピアノ組曲では第4曲目にあたりますが、ラヴェル自身の編曲による管弦楽曲版では、このリゴドンがフィナーレです。
「ピエールとパスカル・ゴーダンの記憶に」献げられています。

  
   Assez vif. C-Es-C. 2/4.
     128bars. [duration 3:30] Edition:DURAND(9569)
 
     transcrit par PINK MOZART(2006)

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JASRAC part3.

Oxford021

編曲権・演奏権

前回まで2回、演奏会で著作権が有効な楽曲を演奏、あるいはネットで楽曲を配信する場合のJASRACとの関わりを書いてきましたが、実は私のように著作権が、まだ生きている曲を編曲する場合、JASRACとの契約以外に、もう一つクリアしなければならない問題があります。それが編曲権です。これを保有あるいは主張する作曲家と、それを放棄している作曲家がいます。ケースバイケースで、これは出版社に問い合わせてみないかぎりわかりません。例えば、ジャック・イベールの場合は御遺族の意志が堅く、申請してもオリジナルの編曲は認めてくれせん。また、ベンジャミン・ブリテンの楽曲でしたら版権の所有者に交渉し、編曲が許可され、その編曲作品の演奏を承認してもらい、正式な契約書を取り交わせば、オリジナル作品の編曲や他楽器での演奏が可能になります。

以前、音楽学校でオーケストラの指揮をしていたときの話です。この学校のオーケストラの編成は(弦5部)+(木管5重奏×2)の編成でした。金管が必要なら本番だけトラを呼んでくる手もあるんですが、こういう編成の管弦楽曲は、まず存在しませんから、編成に合わせた編曲作品で授業を進めることになります。ある年、弦楽科の先生と話し合い「来年はブリテンのシンプルシンフォニーを演奏会でやろう」と一決、前年の秋から準備に入りました。調べてみるとこの曲の場合は「がんじがらめ」に保護されていて、著作権・版権を所有しているのはオックスフォード大学。そこに編曲と演奏を承認してもらわねばなりません。とはいっても、慣れない英文で鉛筆の先を舐め舐め ”I am・・・・・, I'd like to ・・・”なんて小学生のようなレターやメールを綴る必要は全くなく、そこはシンプルシンフォニーの楽譜を日本に輸入している総代理店が、この手のエージェントを引き受けてくれてOKがおりました。年内に編曲を脱稿し、きたない手書きのスコアをドサリと助手に渡すとコンピュータ出力でパート譜におこしてくれる段取りです。(毎年、これで助手の冬休みと春休みが、ほとんどツブれますから大いに恨まれました)

新年度になり音楽科の研究室(とは名ばかりで、こんな部屋でいかなる研究も為されたことはありません、講師溜まりというか、弁当を使ったり、コーヒー飲んだりゲームに興じたりするトコです)に顔を出すと、学部長が青い顔をして「先生、これは大変なことになりました。新年度が始まってからは新しい予算は計上できません」と、なにやら紙束をふりかざしながら震えています。なんのことやら、さっぱりわからず、その紙束を見せてもらうと、これが届いたばかりのオックスフォード大学との英文本契約書でした。
「********氏の手になる本曲の編曲を承認する・・・」
「当該編曲作品を貴学**月**日に開催予定の定期演奏会において一回限り公開演奏するのを承認する・・・」
「その演奏に際してはJASRACを通じて規定の音楽著作権使用料を支払う・・・・」
「後記する当オックスフォード大学よりの許諾文の省略内容を一字違わず必要最小部数のコピーにとどめた総譜・パート譜すべてに記載すべく・・・」
長々と続き、学部長を震撼させたのが最後の項目でした。
「・・・・・・以上の契約金として貴学はオックスフォード大学出版部に対して英貨2万5千ポンドを遅滞なく支払うものとする。」
その項目を読んだトタンに場数を踏んだわたくしは「ハハァ~ 間違えたな!」とすぐにわかりましたが、学部長は「先生、先生!2万5千ポンドといえば、今日の相場で600万円以上ですよ、とてもそんな予算を今からは・・」と、今度は新聞の外為欄を振りかざして青くなっています。さっそくエージェントの楽譜輸入会社に電話すると、案の定「エエッ! 2万5千ポンドになってましたか!?  スビバッせーん!!! それ、2万5千円の打ち間違いです。」

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RAVEL:V-MENUET. Le Tombeau de COUPERIN.

モーリス・ラヴェル:「クープランの墓」よりムニュエ

原曲の2手ピアノ曲、ラヴェル自身の編曲による管弦楽版ともに提示部にbisがありますが、PINK MOZART版では省略しています。「ジャン・ドレイフュスへの思い出」に献げられています。

  
    Allegro moderato. G-d-G. 3/4.
     128bars. [duration 4:12] Edition:DURAND(9569)
 
     transcrit par PINK MOZART(2006) 

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RAVEL:VI-TOCCATA. Le tombeau de COUPERIN.

モーリス・ラヴェル:「クープランの墓」よりトッカータ

「ピアノ組曲 クープランの墓」の終曲にあたる、このトッカータはラヴェルにとって最後のピアノ作品となりました。献辞は「ジョゼフ・ドマルリアーヴ大尉の思い出に」となっています。

    
    Vif. e-dis-e-cis. 2/4.
     251bars. [duration 3:39] Edition:DURAND(9569)
 
     transcrit par PINK MOZART(2007) 

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JASRAC. part2,

Jasrac2020

JASRACへの手続き方法

前回JASRACの記事を投稿したところ、申請方法の問い合わせが数件ありましたので、今回は、その手順を概略だけお知らせします。

まず使用曲に作曲者の著作権が有効か?をJ-WIDにアクセスして確認します。コツとして作曲者名はラストネームのみを原語で検索欄に入力します。曲名・ファーストネームまで入れるとミススペルの可能性が高まります。一字でも間違えるとGoogleのように「もしかして****では?」なんて親切ではありません、冷たく「そんな奴いねぇよ」のエコーが返ってくるだけですから慎重に入力し、作曲者の曲名一覧から目的の曲を選んでクリックしましょう。

当該曲がJASRACの管理曲であるか/ないか が右の欄に表示されます。それを確認し管理曲の場合は、その登録番号を控え、次にJ-TAKTしアクセスします。初めての場合は申請者パスワードを登録してログインIDを発行してもらい、しかるのちに、そのIDでログインし、あとは画面に従って入力してゆけば簡単に申請が完了しますから、流れに沿って楽曲使用申請書をプリントアウト、ペタッっとハンコを押してJASRACに郵送しますと、数日後に上掲の利用許諾証と著作権使用料の振り込み用紙が送られてきます。

コンビニエンス・ストアか郵便局で払い込むもよし再びJ-TAKTにログインしてクレジットカード決済も可能です。最後に許諾証と同時に送られてくるログイン・パスワードで指定されたサイトからjpegの使用許諾マークをダウンロード、その「栄光の」JASRACマークをトップページに表示さえすれば、晴れて、あなたのサイトから「作曲者の保持する-有効な著作権が-保護された」音楽を合法的に発信できます。

おもしろいことに、非商用利用でネット配信の場合、著作権使用料は曲の長さによるわけではなく、1ファイルごとの計算ですから、なが~い「第九の第4楽章」だろうが、JRAの「出走ファンファーレ」だろうと一年間1260円也(月単位の契約も可能)です。が、例えばMP3ファイルと元のMIDIファイルも同時に配信するとなると、2ファイルと見なされます。また、配信しようとする組曲が6曲で構成されていれば6ファイル分の著作権使用料金になります。「じゃ、間奏で繋いでメドレーにしたら1ファイル分の料金でいいの?」 識りません、どなたか調べて教えて下さい。

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POULENC:SUITE FRANCAISE.

Suite_francaise016

フランシス・プーランク フランス組曲(1935)

本日のプログラムはプーランクの「フランス組曲」です。とはいえプーランクの没年は1963年、著作権が有効でJASRACとの契約のからみで*ARCHIVES ANNEXEのみで公開しています。
原曲は2手ピアノ曲。16世紀フランスの才人Claude GERVAISE(クロード・ジェルヴェーズ)が収集した当時のフランス各地方の民族舞踊曲と宮廷舞踊曲など全7曲の旋律をプーランクが斬新な和声で再編した、とてもモダンでノスタルジックな組曲です。
   
【本組曲は2007年6月30日にて公開終了】 

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