RAVEL:I-PRELUDE. Le Tombeau de COUPERIN.
ロバート・ゴダードのいう「あの戦争」=第一次世界大戦がはじまると、ラヴェルは39歳にして敢然と志願を申し出ますが、すでに大作曲家であった名声を慮る以前に標準体重に達していなかった身体条件を理由にフランス共和国陸軍は入隊を拒否、それでもラヴェルはあきらめず救護隊員として志願、病院や輜重隊のトラックの操向転把を握り勇躍、戦場を駆けめぐりました。やがて戦線で赤痢を得、やむなく除隊したときには身体的・精神的に極度の疲労により艶やかな頭髪は銀一色に変わり果てていたそうです。
その従軍中に構想を練り除隊後に書き上げられた2手ピアノ組曲「クープランの墓」はラヴェルにとって最後のピアノ作品になり、3年後の1920年にはラヴェル自身により管弦楽組曲に編曲されました。【GALERIE PINK MOZARTをご参照ください】
「クープランの墓」とは新古典主義をうち建てたラヴェルより大先達フランソワ・クープランに代表される「フランス古典音楽」への頌賛歌とされています。各楽曲の冒頭にある献辞は従軍中の知己へのものとなっていますが、第4曲リゴドンの「ピエールとパスカル・ゴーダン」は着弾した一発の砲弾により同時に散華した悲劇的な御兄弟に献げられています。
なお、フォルラーヌ・リゴドン・ムニュエは古典的な舞踊曲の題名です。
「prelude_tdc.mp3」をダウンロード
Vif. e. 12/16. 123bars.(in actual)
[duration 3:16] Edition:DURAND(9569)
transcrit par PINK MOZART(2006)
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Comments
「ツカミ」部分・・・そうですよね。
ここで耳をひきつけなくてどうする!、ってことだよなあ。
> 独立した楽曲の題名で「前奏曲」の名を持つものは反対に、どちらかというと「静か」で「まったり」した曲も多いのではないでしょうか。真っ先に思いつく曲は下のドビュッシーが作曲した有名な単独前奏曲。
これもいわれてみると、そのとおりですね。
独立した一芸として高めてる、ってわけですね。
Posted by: Site Cafe Rias | Sunday, 24 June 2007 15:56
プレリュード=前奏曲=序曲の古典的な存在意義は、全体のコンテンツをさりげなく鏤め、導入する楽曲への期待感でワクワクさせなきゃいけない「ツカミ」部分ですから重々しい前奏曲は少なく、わたしもすぐには思い当たりませんが、純粋音楽の題名としてのPRELUDEもしくはFUGAに対するものでしたら、重厚で荘重な曲も例えばBACHの「平均率集」にもいくらでもありますし、ドビュッシーの「前奏曲集」にも多数あります。
独立した楽曲の題名で「前奏曲」の名を持つものは反対に、どちらかというと「静か」で「まったり」した曲も多いのではないでしょうか。
真っ先に思いつく曲は下のドビュッシーが作曲した有名な単独前奏曲。
この曲に強奏部分はあったかな~?
『牧神の午後への前奏曲』
Posted by: PINK MOZART. | Sunday, 24 June 2007 02:12
この曲を聞いて、
ふと思ったんですが。
軽快なプレリュードって、
間々あるように思いますが、
静かな落ち着いたプレリュードって、
あるんですかね?
それとも私が知らないだけ、
聞いたことないだけ、かな?
Posted by: Site Cafe Rias | Saturday, 23 June 2007 23:29