PIERNE:IMPROMPTU-CAPRICE. op.9 ter,
ガブリエル・ピエルネ:「奇想即興曲」op.9 ter,(1885)
Allegretto moderato.
As-c-C-As. Récit-6/8-Récit-3/8-6/8.
166bars+2Récit [duration=5:32]
ALPHONSE LEDUC(A.L.10.381)
transcrit par PINK MOZART op.100,
Henri Constant Gabriel PIERNEのハープ独奏用「奇想即興曲」は現在ハープのレパートリで最も重要な地位を得るほど、この楽器の特性を活かし切った優美この上ない旋律の名曲です。
原曲は1885年度パリ国立高等音楽院(コンセルヴァトワール)
ハープ科卒業試験課題曲として作曲されました。これがop.9,
のちにピエルネ自身によりピアノ用に編曲されたものがop.9 bis,そして卒業試験課題曲からより華やかに演奏効果を向上させた「演奏会版」が op9 ter,
残念ながらop.9,とop.9 bis,の楽譜は絶版になっていますのでPINK MOZART版はop.9 terに典拠して製作いたしました。
音楽学校に学んで一番楽しかったのは希少な楽器に自由に触れる、心ゆくまで鳴らしてみることができることでした。防音もされていますから銅鑼を狂ったように叩き続けても文句は出ません。例外はチェンバロ、この楽器は弦を掻き鳴らす「ベック」という箇所が天然の鳥の羽軸で作られているなど、とにかく構造がデリケートなので素人が乱暴に弾こうものなら、忽ち壊れてしまうため厳重に鍵のかかったレッスン室に安置されていました。
そこいくとハープの扱いなんて大らかなもので楽器が空いているときは誰でも自由に演奏できました。いまでこそハープを所有する高校吹奏楽部など珍しくも何ともないでしょうが、わたくしの音楽学校時代は実物にお目にかかる機会などは演奏会でしかありませんでしたから興味津々、時間さえあればハープを「いぢくり倒し」て遊んでいました。
もっとも音楽学校という特殊環境にあって男子生徒なればこそ他にも「もっとマシ」な「いぢくり倒すべき未知なる」対象はゴマンとあふれかえっておりますから、たいていはそちらを「いぢくり倒す」のに狂奔するんですが、わたくしは生物学的な方面にはトンと興味がなく、ひたすら未知なる楽器を探求する学究にいそしんでおりましたので、いまでもバルトークのVl'協奏曲2番冒頭のハープソロくらいは弾けます(と思います・・たぶん・)
ハープの弦は全部で47本、このガット弦(高音部は金属線)にちょっとした細工がありC線は赤くF線が青く染色され、それを目安に「つま弾き」ます。基部には7本のペダルがあり時計回りにA-G-F-Eが右足用 H-C-Dを左足で操作します。
このペダルが上がっている状態がフラット、一段押し込んでナチュラル、下に踏み込むとシャープ・ポジションになり、たとえば一番左のペダルを下まで踏み込むと全音域のHが一斉に半音上がりHisすなわちCになります。それゆえハープを演奏する際は曲中に何度もペダルを操作してシャープからナチュラルあるいはフラット位置に7本のペダルを演奏中に切り替える、なかなかに技術を要する「足捌き」を習得するのもたいへんに重要です。
このペダル群はスプリングで上向きのかなり強いテンションがかかっていて、フラットポジションからナチュラルポジションにするには一段踏み込んでスッとペダルを右にずらしてナチュラルのストッパー位置に押し込みます、また更にシャープポジションにするにはナチュラル位置から一段押し下げ、やはり右にあるストップ位置に持ってゆかねばならないのですが、このストッパー位置へ確実に入れないままペダルを放したりすると、ペダルはものすごい勢いで最上段のフラット位置まで跳ね上がって衝突しドッッカーン、ボッカーンと身の毛もよだつような大音響を発します。
銃声に近い音量ですからこれに着目し、このドッッカーン、ボッカーンの騒音を故意に発生させる現代曲もありますし、わたくしもドッッカーン、ボッカーンはしょっちゅうやらかしましたが、そのせいで楽器が壊れたという話は聞いたことがありません。
ハープとは優雅なフォルムに似合わず非常に強靱な楽器だと感動しました。
あ…でもこの記事をお読みの方がハープに触れる幸運に恵まれたとしても「ドッッカーン、ボッカーン」を試すのは一回きりに、い、いや!絶対に試してはなりません。
PINK MOZARTの記念すべきop,100となりました本mp3作品を同級生ハーピスト故K.A.の思い出に謹んで捧げます。
近代ハープを完成させたのは「おフランス」なのですが現在シェアのほとんどを日本の「青山ハープ」とアメリカ合衆国のLYON & HEALY社製が占めています。わたくしが「いぢくり倒し」ていた楽器もライオン・エンド・ヒーリーの製品でした。« D'INDY:SUITE EN RE DANS LE STYLE ANCIEN. I_PRELUDE. | Main | RACHMANINOFF:VOCALISE. op.34-14, »
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sumito96さん
ありがとうございます。
ピエルネのファンになっていただけましたか。
うれしいです、すばらしい作曲家ですよね。
>「奇想即興曲」がハープ名曲集のCDに収録されるような有名な曲だとはつゆ知らず…
それぞれの「好み」といものもありましょうが…
わたくしに「ハープ・ソロでこれ以上の名曲は?」と問われたとしても、ウ~ン、いくら考えても思い当たりません。
やはりハープ作品としては超絶した名歌ではないでしょうか。
ピエルネのCDはずいぶんと発売されているようですが
ダンディの方はどうでしょう? まだあまり網羅されていないでしょうね。「古典形式による組曲」は本年1月に発売された
TIMPANIレーヴェルただ一枚しか見つけられませんが、この曲を元にピアノ+木管5重奏に編曲したエッセンシャル「サラバンドとメヌエット」のほうは数多くのCDが出ていると思います。
機会があれば、そちらのブログへのコメントで御紹介したピエルネの曲を「お料理」してみたいと思っています。
ピエルネの「室内楽CD全集」といものがあるそうですが:
「この曲はスゴイ!」等、良い情報がありましたら、ぜひ教えてください。(そうだ!その際は音をmp3圧縮で送ってくださいね)
Posted by: PINK MOZART | Sunday, 23 March 2008 at 15:01
PINK MOZARTさん、こんばんは。
作品100、おめでとうございます♪
ピエルネの 「奇想即興曲」がハープ名曲集のCDに収録されるような有名な曲だとはつゆ知らず、原曲聴きたさに “ピエルネ室内楽全集”に手を出してしまいました。。
…が、おかげでピエルネの室内楽にやられました(笑) ダンディさんの方もいずれ聴いてみようと思います。 これからも知られざるおフランスの佳品、そしてピエルネの続編をぜひぜひ!
Posted by: sumito96 | Sunday, 23 March 2008 at 01:28
ドルチェさん
お祝辞ありがとうございます。
PCよりも耳の調子はどうですか、
ホンのすこしでも快方に向かっているのか?
のほうが気になります。
>好きな曲を自分の力で広められるってのは…
そんな~ 大それた気持ちはありません、
その意味では最初の「プレリューディオとフゲッタ」と前回の「古典形式組曲」くらいぢやないでしょうか。あたァ やっぱり好きな曲ですし、それに、もう充分に有名な曲ばかりですよ。
ぜひ「本物の音源」に興味を持っていただければ良いな~
と思います。
「奇想即興曲」や「月の光」のような超有名曲は皆さんがイメージを固持していますから実は避けたいところなのですが、
今回ばかりは「ハープをハープの音で」とガチンコで
ぶつかってみました。
スゴイですよ~、シンセサイザのハープの音なんてものは
それを「あっちをいぢり、こっちをいぢり」でようやく「聴ける範囲」にもってゆくのに苦労しました。
一日も早い回復をお祈りしております。
Posted by: PINK MOZART | Monday, 10 March 2008 at 20:00
記念すべきOp.100ですね! おめでとうございます。
ここのところ、うちのパソコンなのか、プロバイダなのか、よくわかんないけど調子が悪く、こちらに入れず苦労しておりました。せっかくのお祝いが遅れてしまってごめんなさい。
それにしても、好きな曲を自分の力で広められるってのは、すごいことですね!
良い曲なので広めたい!と思っても、演奏して、CD化して、さらに購入してもらうとなると、あまりにハードルが高いわけで。
それを一人でやってしまってるようなものだもん。
気軽に試すチャンスを提供してるってのは、大変有意義なことだと思います。
これからもいろいろ「いぢくり倒し」て、紹介してくださいねー。
Posted by: ドルチェ | Monday, 10 March 2008 at 01:33
しゃろんさん
ありがとうございます。
そうですね、ハープ奏者の腕の筋肉は
かなり発達します。日本ではハープ科
は圧倒的に女性が多いのが七不思議の
一つです。
昔は「禁じられた遊び」現代はYORK
のSUNBURSTを弾こうとしてギターを
はじめた人がたくさんいるように。
この「奇想即興曲」はハーピストなら
必ず憧れる名曲です。
>とても柔らかく美しい憧れのハープの音…
フフフ、堅いお肉を長時間煮込んで
柔らかくするように、なんともキンキンと
耳障りな音をここまでDSPでコトコトと
気長な「煮込み調理」に…
苦労しました。
Posted by: PINK MOZART | Saturday, 08 March 2008 at 20:55
とってもきれいな音色ですね。当地出身の女性ハーピスト?っていうのかしら、昔、演奏会でお話も伺ったとき、やっぱりハープって見かけは優雅だけど、力強い演奏が必要だと聞きました。
PINK MOZARTさんの演奏は、そんな陰の力は全然見えなく、とても柔らかく美しい憧れのハープの音ですね。
Posted by: しゃろん | Saturday, 08 March 2008 at 17:05