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SATIE:TENTURE DE CABINET PREFECTORAL. MUSIQUE D'AMEUBLEMENT

Satie_lunettes

Erik SATIE:TENTURE DE CABINET PREFECTORAL(1920)
エリック・サティ「ボスの部屋にある壁飾り」

 
  e, 2/4, 12bars.
    EDITIONS SALABERT.Paris, E.A.S:17141

繪本作家がプログラムに則したショートストーリーを書き上げ、
それをナレーターが朗読しそのあとにオーケストラが演奏を
披露する形式の演奏會に現在携わっています。

プログラムのほとんどに「プレタポルテ」市販譜が存在するのですが
そのうち何曲かは繪本作家センセの選曲による世間には「あまり馴染みのない」音楽でして
従って既成譜などは存在せず「オートクチュール」になり私が編曲の依嘱を受けました。

そのなかの一曲にErik SATIEが1920年に作曲した「家具の音楽」という作品。
この組曲の由来を調べてみると、これは演奏會の休憩時ロビーで演奏された
謂わば「バックグラウンド・ミュージックの嚆矢」となった音楽らしく
音楽史上では「最初のアンビエント音楽・最初の環境音楽」に位置づけられていました。

現在CDはどこからも発売されておらず、はたして原譜の入手は「可能か?」を
大いに怖れましたが「な~んでも揃っている」らしい(笑)母校図書館蔵書を
OPACで検索をかけると、シャンソン楽譜大手のSALABERT社出版の総譜がヒット。
宅配を依頼すると極めつけに風変わりな一物が送られて来ました。
スコアはペラペラの全3ページ、「しまった、これはプロモ用の見本刷りか?」
しかし子細に点検してみるとそうではなく、これが「家具の音楽」全容でした。

■第一曲 TENTURE de CABINET PREFECTORAL「知事室の壁飾り」は「速すぎない」と
速度表示された4分の2拍子12小節を「任意の回数繰り返して演奏せよ」の指示。

第二曲 TAPISSERIE en FER FORGE 「錬鉄製の綴織り」は「豊穣に」と表情指示のある
8分の6拍子わずか4小節を「何度も繰り返して演奏せよ」
また「招待客を迎える際に玄関で演奏するのがよろしい」の添え書き。

第三曲 CARRELAGE PHONIQUE 「音がでるタイル」は「平凡に」の速度・表情指示
「昼食時、あるいは披露宴で演奏するのもよいかも」の添え書きを伴った
4分の2拍子4小節を「何度も繰り返して演奏せよ」

§「家具の音楽」の原題はMUSIQUE d'AMEUBLEMENT(*1)
強く思ったのは=まず、この日本語題名が「おかしい」か完全なる「誤訳」である。
机とかタンス、ベッドなどの『家具』にあたるフランス語はMEUBLEが「普通」です、
しかも「壁飾り」「綴織り」「タイル」を一般的に「家具」と呼びますか? 
いいえ、違いますよね。"AMEUBLEMENT"仏和辞典第一義は「室内装飾」「調度品」
エリック・サティの製作意図・また楽曲の成立経緯からしても邦題は
「調度音楽」(*2)「装飾音楽」のほうが相応しいのではないか? というのが第一点。

§もう一つ:
各楽節(切)の邦題は最も人口に膾炙したタイトルを採用しましたが
第一曲のCABINET PREFECTORALは「(県)知事室」ではなく多分「ボスの部屋」の意。
第二曲の邦題には「まつたく異議無し」。
第三曲の邦題「音がでるタイル」の原題 CARRELAGE PHONIQUEのCARRELAGEに
「タイル」であることに疑義は無いものの、問題はPHONIQUE=「音のでる・鳴る」なのか?
PHONIQUEの用法をいろいろと調べてみると「PHONIQUE(音)をISOLATEする」の
"ISOLER"(隔絶する)を省略して「防音機能」が備わった商品名・製品名に
したものが非常に多いことを発見。比較が少し流れますが「無洗米」(*3)が
「洗われていない米」ではなく「すでに『洗われた=とがれた』米」を意味するように
「音タイル」とは「音がでるタイル」ではなくて「防音タイル」ではないか?
もしくは「音を反響させるタイル」の意味である、に違いない!
[63%程度の確率(笑)で推察(*4)しています]

【註記】
(*1)
このAMEUBLEMENTは「室内装飾」のほかに「家具一式」も意味するが
その場合はどちらかと言うと法律用語の「家財」に近い気がする。
もし(ありえないが)SATIEが「家具の音楽」という意図であるならば
MUSIQUE DES MEUBLESの題名を冠するのが自然。

(*2)
当時は現在のような「アンビエント」という言葉は無かったのか?
そうではなくAMBIENT(周囲・環境=英仏共通)という単語とMUSICという単語が
「結びつく」のは時代が下った我々の感覚、あるいは相当に「ブッ飛んだ」
「カッ飛んだ」感覚であって当時としてその発想はあり得なかった(と思う)

(*3)
蛇足ながら;
新参語ではこの言葉ともう一つ「認知症」という単語は不明確であり
「不認知症」あるいは「認知失調症」でなければ意味が通じないのではないか
常々、考えていたたが…これは筆者(あ。私、PINK MOZART)の
不認知に拠るところが大きく「症」とは「病気による特徴が顕在する箇所」
「認知症」すなわち「症として認知性が大きく損なわれる」であるから
まことに正確な日本語なんですと。

(*4)
我々の業界に於いて「では他の言語ではどうなっているか?」の
Comparative研究は徒労に帰する場合が多いが、本曲の英語題名は
FURNITURE MUSICでありFURNISHING MUSICである、その意味は
「家具の音楽」よりも「調度としての音楽」「装飾としての音楽」として
捉えられるので本論文(わ。スゴイことになってきた)への
「強力なる補助論証」となり得るのである。

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